「他人事の音がする」
どうもこんにちは希鳳です。新年早々に神が降臨なされたようです。
皆さんは友人や家族から「優しいね」とか言われたことありますか? 人は少なからず心に良心を持って生きているものです。だからこそ人の痛みをわかろうとする。だから優しくなれる。
しかしながら、私は思うのです。
その優しさは誰のためのものかって。
作詞・作曲:あめのむらくもP 歌:GUMI
凄まじい毒を孕む歌詞
この楽曲の素晴らしさは強烈な毒を孕む歌詞にあるでしょう。
皆さんに一度思い浮かべていただきたい情景があります。それは「遅刻しそうなときに、飛び込み自殺による人身事故で電車が止まってしまった」瞬間です。
大事な会議があるとか、テストやデート。どうしても遅れることのできない用事に間違いなく遅れてしまうこの出来事。たった一度でもその事象に巻き込まれたとき、多くの人はこう感じるはずです。
「ふざけんな」
いや、当たり前の感情です。私も少なからずそういう経験をしたことがあります。その情景を思い浮かべて、歌詞を一言一言大事にこの楽曲を聞いてみてください。
己の汚さや暗い心の奥底にズドン! と強烈な一撃をもらったかのような衝撃を受けるかと思います。
基本的にすれ違う人は赤の他人。他人がどうなろうがどうでもいい。実際のところそう考えている人が大半を占めているかと思います。私の昔の上司なんかがそれで「こいつマジクソ野郎だな」なんていつも考えていたものですが、なんだかんだそれがこの冷たい世界の生き方としては利口なんです。
しかしながら、この楽曲に含まれた毒は、子供の頃には毒とすら思えないような「当たり前」に溢れています。
「人を傷つけるな」「他人には優しくあれ」
そんな当たり前さえも、成長の過程で失っていく我々の不甲斐無さを力強く、太い声で歌い上げる楽曲の孕む猛毒に私は鳥肌が止まりませんでした。
聴き手への新しいアプローチ
この楽曲の素晴らしい点は歌詞もそうですが、聴き手へのアプローチの仕方が新しいように感じました。
まるで自分に語り掛けるように紡がれた歌詞で、聴いていた私が思い浮かべたのは「懺悔」でした。
日常的に起こる他人の悲しい出来事や、嬉しい出来事に一喜一憂できない自分の歯がゆさや葛藤。その中で作り笑いを浮かべてありあわせの言葉で優しさを演じる自分の汚さに悩む主人公の暗さや痛みが歌を通じて流れ込んでくるかのように感じました。
そう、本来、楽曲とは聴き手に楽曲を聞かせるために作られる物であるはずですが、この楽曲は聴き手を主人公に置換する形で成り立っているように思うのです。
俺も私もそうなのかもしれない。ならばどうあるべきで、どう考えるべきで、それでいて優しくありたい。しかしその優しさは一体誰のためのものなのか。
聴けば聞くほど深みにはまっていくこの感覚。これは本当に鳥肌ものですね。それでいて聞きやすいPOPなメロディーラインもしっかりと作りこまれていて聞くたびにその完成度の高さに圧倒されます。
これが二作品目というのが驚きです。完成度が高すぎてそういった意味でも鳥肌が立ちます。
一作品目も非常に気になるところなのでそちらも聴いて記事にしたいと思います。
最後に
あめのむらくもP様に一言「一度聴いたら忘れられない、そんな楽曲でした。これはクセになりそうです。素晴らしい完成度と圧倒的な表現力に鳥肌が立ちっぱなしでした。ハッとさせられるような歌詞で、何度聞いても考えさせられる、そんな楽曲に仕上がっていると思います。これからどんな楽曲を作っていかれるのか楽しみです! 心から応援しております!!!」
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